
迷子札のコレクション
自由裁量になっているのだ。
当時、ちょうど保全経済会事件など、街の利殖機関の詐欺的事件が問題佑していたので、保全経済会の二の舞になる危険があるという懸念から省令を改正して、抵当証券の発行申請に際して不動産鑑定評価書を添付するなど、審査を厳しくした」ということである。
抵当証券が問題になったのは、実はここ数年のことではなく、すでに三十年以上も前に社会問題になっていたのだ。
その噴、疑獄事件にも発展しそうになった保全経済会事件が起きていた。
この事件は、新聞の三行広告などで。
毎月一割配当。
金融業界の再編成いや粛清の大鉱が振られて数多くのマネー−ベンチャー、つまりマネー!の一匹狼たちが消えていく過程で、抵当証券を利用してカネ会集めようとする事件が発生したわけだ。
その後、金融の自由化、国際化という、いわば表側の大きな流れ、日本全国に蔓延するカネ余り現象に乗って豊田商事事件、投資ジャーナル事件などが起き、ふたたび権力と既成の金融機関が合体した粛清の鈍が振られる中で、またもや抵当証券事件が再登場してきた。
三十年前とまさに同じパターンだ。
ただ今回は、抵当証券をそのまま販売するのではなく、モーゲージ証書という預り証を投資家に手渡すという、法律とシステムの抜け穴を利用した手のこんだかたちになっていた。
「法務局に登録さえすれば誰でもすぐに抵当証券葉ができる。
事実上ノ−チェックなのですよ。
そのうえ自由裁量。
の預り証モ−ゲージ証書を客に売りつける。
「もともとは、こんな不特定多数に抵当証券を販売するなんて発想はまったくなくて、銀行聞の取引を想定して作られたものなのですよ。
実は抵当証券の実態確かに、抵当証券会社のリストを調べると、大銀行や大証券の系列会社と錯覚しそうな名前がずらりと並んでいる。
そこで、無作為抽出的に電話で確かめてみた。
会社となっている電話番号にかけると、男性の声で「ウチは勧業抵当証券ではない。
個人の電話だ」と答えてすぐに切ろうとした。
そこで執揃に勧業抵当証券の連絡先を問うと、やっと電話番号を教えてくれた。
教えられた電話番号にかけてみた。
会科となっている電話番号にかけたら、住友興産といつ会社に変わっていた。
抵当証糞宋としての登録はエステイ抵当証券となっているのである。
「なぜ金削を変えた大蔵省理財局からいわれたからだよ。
去年十一月十四日に改称して登録しなおしたのだ。
だけど抵当証券は全然やっていない。
本当だよ。
一枚も売っていない。
抵当証券が面白い商売になるというのでやろうとしたのだけど、これだけ事件になってしまったからね。
やろうたってできないじゃないか」実は同名の大阪の会社(墓口市の千代田抵当証券とは別会社)の社長たち四人が、去年十二月六日に詐欺容疑で大阪地検に逮捕されるという事件が起きている。
そのことを問うと「ウチとはまったく関係ない。
その点は何も知らない」(内野正也社長)と前置きして、次のように語った。
「そもそものきっかけは、沖縄からやってきた人間たちが、東京に抵当証券の支社を作りたいから協力してもらえないか、といってきたのだ。
抵当証券は絶対に儲かるという。
それなら会社参作ってやろうということにしたのだが、実際にやり出したら話がおかしい。
ヤツら、沖縄銀行とタイアップしているとか、五億円の抵当証券を用意するとかいっていたけど、興信所多使って調べたらまったくのウソだとわかった。
そこで途中でヤツらとは手を切った。
最初は役員に入れていたのだけどね。
ヤツらというのは大阪で逮捕された連中だよ」話そうと、詐欺容疑で逮捕された大阪の同名の会社の幹部たちと関係がない。
どころか、相当こみ入った関係があるわけだ。
豊田商事というのは、日本のさまざまなワルたちを寄せ集めた。
その意味で悪徳商法のダムだったわけですよ。
永野一男が殺されて、そのダムが決壊したためにワルたちがどっと散らばった」ダムから放たれたワルたちの多くが流れ込んだのが、抵当証券だが、警察庁の実務担当者によると、「豊田商事の教訓から素早く対応しました。
事件が起き始める前から危険な会社、つまりワルたちの動きを徹底的に監視したし、投資家たちの側にも警戒心が働いていたので被害が予想外に少なくて済んだ(被害者約五千人、被害総額詞百億円)」のだということだ。
事実、警察では事件が続出しはじめた去年の夏には、抵当証券業者の全リストを作り上げていて、リストアップした百二十六社中、いわゆる独立系七十数社については動きを完全に掌握する体制づくりを終えていた。
「抵当証券の法的抜け穴を利用しようとしたワルたちの日論みが早々につぶされて(八六年十二月現在で、二十九社が休業、倒産状態)しまったのは、彼らがしょせん大ワルではなく、抵当証券という既製品に乗った小ワルたちでしかなかったからです。
モーゲ!ジ証書歩豊田商事でやったペーパー商法のやり口で売るという、何よりも発想が安易ですよ。
悪のオリジナリティ独創性がない。
水増し、カラ売りなどやり方もずさんで、げんにすぐばれて自滅している。
その意味では悪は悪でも本格的悪じゃない。
しょせん残党、悪の亜流たちに過ぎなかった」(S次夫)抵当証券という川で政属したのは、悪の亜流。
たちで、
悪のオリジナリティグがなかった。
本安志(前出)も「抵当証券事件は、いずれもが詐欺事件としても、かなりずさん」だと指摘している。
悪のオリジナリティのない。
悪の亜流たち。
それではP悪のオリジナリティ。
がある本格的な悪とはいかなる連中なのか。
そのことをS次夫に問うと、彼は豊田商事の会長・永野一男の名前を挙げ、源流悪のル−ツ。
としてU村健してK隆祥の二人の名前を挙げた。
現在のマネーブームに直接つながる、ダーティ円ウォ−ズのヒーローたちだ。
U村健一とは、天下一家の会・第一相互経済研究所の会長として史上空前のネズミ講を主宰し、延べ会員百八十万人、約千九百億円を集めたといわれている人物。
新聞、雑誌などで、それこそ。
悪の権佑。
として袋叩きにされ、八三年七月、最高裁判決で懲役三年、執行猶予三年、罰金七億円の刑が確定した。
もう一人、K隆祥は健康産業を標梼するジャパンライの総帥ジャパンライは設立五年日の八四年度の売上高は千五百二十億円と、すさまじい急成長を遂げた。
ジャパンライがマルチまがい商法だとマスコミで激しく糾弾され、国会でも通及されるに及んで、K隆祥はジャパンライの表面から姿を消した。
話徳商法。
の二大源流U村健一、K隆祥。
U村健一をたずねた日は雨で、熊本空港が雲と霧につつまれてしまったために、到着が二時間ほど遅れていらいらさせられたが、その分だけ彼についての資料を丹念に読みかえすことができた。
四十歳の時に糖尿病で一ヵ月ばかり入院しているのだが、これが彼の大きな転機となっているのだ。
退院したU村は、やがて保険の外交員をやめて、自宅に第一相互経済研究所。
という看板を掲げてグ親しき友の会の会員勧誘を始めたのである。
U村が糖尿病の病床で考え出したというかネズミ講だが、最初のプランは「二千八十円を出資したうえで四人の子供会員を勧誘すれば百二万四千円になる」というコース一本だった。
その仕組みは親しき友のムに入会すると二千八十円のうち千八十円を本部(第一相研)に送金し、本部が指定した先輩会員に千円を送金する。
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